【読書メモ】空海の夢(松岡正剛)

空海の夢/松岡 正剛

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最近の私のブームは「記憶」と「意識」の関係です

この本は、「空海」に惹かれて手に取ったのですが、
私の「脳」は、この本に私にとってグッと来る内容だと、
知っていたに違いありません
予想を超えた、とても興味深い内容でした

特に興味を惹かれた1つ目は、
仏教の死生観や宇宙観がどのように発達してきたかということ
ミクロとマクロは合一困難であり、
意識の中にこびりつく「欲」の原因が「業」であること、
それを意識することで取りのぞくことはできる、と説明されています

「意識」そのものについても、
人間が二足歩行を始めたことで、
「意識」が変わるその過程が書かれています

足で立つことで、遠くまで見ることができるようになると、
「こちら」と「あちら」「彼方」(浄土やシャンバラ)の意識が芽生え、
手の自由を得たことで、数の概念や印相(ムドラー)が生まれた

その過程で起こったのは、頭の中のやまない思考=煩悩であること
意識を中断させるための方法(瞑想など)もまた、
その過程で生み出されて行ったという流れがわかりやすく書かれています

また、大きな興味のもう1点は、記憶に関すること
空海が書いた書物から、空海が多くの本を読んでいたことや、
そうした知識を、記憶する高い能力があったことがうかがえるのですが、
筆者はそのことに対し、自身も記憶術をいくつか学んだことから、

記憶というのは、単に知識やデータの蓄積ではなく、
近くする主体(人間)の意識を冴え渡らせる行為だ、

と述べています
私が一番グッと来た部分でした

最近、記憶術を実践していたら、
身の回りに起こることに意識が向くようになったり、
苦手と思っていたビジュアル化が得意になってきたのです

記憶したものと、新しい情報がリンクしやすくなり、
頭が冴えている状態が続いている気がするのです

なるほど、これはまさに、
脱「ロボット化」!!

この一文で、私のこの体験に説明を付けてもらったような、
すーーっと腑に落ちる感覚を得ることができました

空海が好きな方にも、
密教とはなにか知りたい方にも、
もちろん記憶や意識にご興味がある方にも、
ぜひ読んでいただきたい一冊です

偶然手に取った本や、目にした情報が、
自分にとって必要だった、というシンクロニシティは、
脳を鍛えていると頻繁に起こります

そうなってくると、カンに従って情報に手を伸ばし、
要不要も簡単に選択できるので、とても楽なのです

時間の長さを変えることはできませんが、
時間の中で、自分のできることを増やせれば、
実質使える時間が増えますよね

この本の、厚さと漢字の多さ、堅い文章、
どれを取っても、以前の私なら読むのを諦めていたと思います
でも、今の私には強い味方「スピードリーディング(速読)があります☆
「読みたい」という欲求を諦めない、
それが実現できた、楽しい読書でした(^^)